富士チャレンジ200 27位

9月9日(土) Funride主催の富士チャレンジ200(以下富士チャレ)に参加してきた。

富士チャレは主に、100kmと200kmのカテゴリーがあり(その他もタイムトライアル等のカテゴリーもあり)、自分は200kmにエントリーした。

 

コースは富士スピードウェイ

 

コース見取り図は下記の通り。

 

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一周あたりの距離は4.5km、獲得標高50m弱のコース。

平坦という平坦は、ホームストレートくらいで、後は、登って下っての繰り返しなコース。

特に、ホームストレート前ののぼりは、大体平均5%弱くらいで、最大傾斜は10%弱あるくらいの、全体としてつらいコース。

 

 

去年、同カテゴリーでエントリーしたが、2時間経過した後、落車をして、最終的に、5時間35分の平均36km/hでゴールした。

先頭には、後半の上りは必死でついていくようなレベルで、ホームストレートでは集団後方にポジションを落として、下りで踏んで前のほうにポゼッションをアップする、という非常に非効率な動きをしてしまって、最終的に落車するという、最悪なレースだった。

 

今年は、その最悪なイメージを払拭するために、同カテゴリーでエントリーした。

 

富士スピードウェイの攻略のポイントは、登りとそのすぐ後のホームストレースで如何に集団の中で走り、下りで心拍数を落として、回復するかがポイントだと考えてる。

 

今年の、富士チャレは、入賞はできなくても、少しでも先頭集団についていき、ゴールド(平均40km/h)をとることを目標にした。

 

1.準備編(2017年3月~8月)

 ホームストレート手前ののぼりは、大体4分前後、約5倍(300w)~6倍(360w)のパワーウェイトレシオで登り、ホームストレートの平坦に入るときには、約7倍(420w)で数秒踏む、という流れで2016年のレースは推移した。去年は。ホームストレートで心拍が180bpmまで上がり、さらにポゼッションも下がっていたこともあり、下りでさらに踏んだことで、登り手前でも170bpm以下に落ちることなく、徐々に疲労がラップを重ねることに、溜まっていき、心拍も落ちない状況だった。

 よって、2017年の富士チャレに向けて、以下の1点を重点的に対策した。

 

        "300w、420wのパワーゾーンで踏める時間を増やす。"

 

 特定のパワーゾーンを狙った練習は、ローラー台が非常に効率が良い。実走の場合、不可抗力が多く、思うような練習ができないからだ。

 そこで、偶然にGCNの動画で気になって、見つけたインドアでの練習をサポートしてくれる、アプリ「TRAINERROAD」。

 

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 このアプリは自分のトレーニング環境を一変させてくれた。このアプリの存在を知らないころはZWIFTでトレーニングしていたのだが、あのキモいアバターの動きがどうも気に入らず、トレーニングに集中出来なかった。もっと、パワーと心拍それだけを表示する "シンプルな" アプリが欲しかった。そこで、このTRAINERROADに出会えた。

 

 簡単にTRAINERROADとは、約1600弱の目的に応じたトレーニングメニュー集である。

 

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このように、目的に応じて、トレーニングメニューを選択することが出来る。たとえば、この "Apple Orchard +3"というのを選択すると、以下のような画面となる。

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・時間:45分間

・予想TSS:55

・予想IF:0.85

・内容:FTPの92%を維持しつつ、125%の15秒を6回繰り返す。それを計4セット。

    リカバリーは3分

というもの。画像の青い部分がパワーの高さである。

 実際に実施したら以下の通りとなる。

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 赤い線が、心拍数、青いパワーグラフに沿った、黄色い線が、実際のパワーのグラフ。下の白っぽいのはケイデンス

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 トレーニング中は、リアルタイムでパワーと心拍数等を見ることが出来る。

 

 この多種多様なトレーニングメニューから、上記で述べた対策に近い練習メニューを実施した。

 3月から始め、徐々に負荷に慣れ始め、以下の通り、TSSも徐々に増やすことが出来ていった。

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 TRAINERROADの話が長くなったが、このアプリのおかげで、狙ったトレーニングゾーンで練習することが出来た。何分300W踏めるかは計測したことがなかったが、当初に比べてはるかに楽かつ長時間維持できているのは7月ころから急に体感することが出来た。

 練習内容という意味では万全の調子で準備をすることが出来たと思う。

 

2.直前準備編(8/26~9/8)

 疲労を溜めない、というのは言うまでもないが、これまでとは違う新しいアプローチをしてみた。

 レースは5時間程度の有酸素運動であり、血中の酸素運搬能力は高いほうが言いに決まってる。高ければ、心拍の落ち着きも早くなり、高い心拍でも息切れしない。そこで、大会2週間前くらいから以下の2つのサプリメントを摂取した。

 

 

"オキシドオライブ"

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"エキストラ・オキシアップ"

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両者ともに、酸素運搬能力を高めてくれる成分が配合されている。前者は、パプリカ色素由来の「パプリカキサントフィル」、後者は、ヘマトコッカス薄色素配合の「アスタキサンチン」。2週間程度で実感できるとのことなので、最後の保険として。

 

  • 機材

 

 また、機材面も足回りを変えた。今まで、ホイールはDuraace C24(以下、C24)でタイヤは4000S2でラテックスチューブの組み合わせだった。C24はやわらかいホイールとして有名で、乗り心地は最高。今まで自分は、このホイールが合っていると思っていたが、友人が Campagnolo の SHAMAL MILLE(以下、ミレ) を持っていることをふと思い出した。ミレは、C24とは対称的なホイールで、剛性が高いことが有名。剛性が高いということは、乗り心地は悪くなるが、その分力が逃げない。評判は確かに、ミレは高く、レースはミレでいくことにした。

 さらに、タイヤも考えた。今まで4000S2の25mm を使用していたが、ミレはホイールがC24と比較して +150g ほど重くなるため、タイヤは軽量タイヤに変えたかった。

そこで、以前から気になっていた、同Continental の Superonic を採用。実際、Supersonicの路面抵抗は4000S2よりもはるかに良い。

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 試走してみると、世界が変わった。ダンシング時、C24は確かに、ホイールがたわむ感覚があった。ミレは、今までたわむということに逃げていた力がそのまま推進力に変わっているのが明らかにわかった。くそ鈍感な自分でも明らかな違いがわかった。ホイールの重量増とタイヤの重量軽により、足回りのトータルな重量は変わらない。

 

  • 睡眠

 朝、特に寝起きの瞬間は自分の体調がすぐわかる。特に、朝起きてペダルを踏むとき、128w 踏むだけでも、楽に踏める場合と意識しないと踏めない場合がある。前者は"調子が良いとき"、後者は"調子が悪いとき"。

 調子の良し悪しは何で決まるのか。色々試した結果、それらを決める要因は "睡眠"であると考えた。" 良い睡眠=翌朝の調子が良い " 

 では、良い睡眠をとるためにはどうすればよいのか。 調べるうちに、面白い文章があった。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

Magnesium supplementation improves indicators of low magnesium status and inflammatory stress in adults older than 51 years with poor quality sleep.

 

320mg のマグネシウムを7日間摂取し続けると、不眠が解消した。という内容。

セラトニンも睡眠改善につながるが、サプリ自体店頭での入手がしずらいということもあり、どこにでも売っているマグネシウムはトライしやすい。だめ元で、500mgを摂取し寝てみた。いつもより、早く目が覚めたが、不思議と "眠い" という感じではなく、必要十分な睡眠をとった。という感覚だった。効果は抜群だった。

 

 トレーニングとサプリ、機材、睡眠等々試行錯誤しながらある一定の自分なりのやり方を見つけることが出来た半年だった。

 

 だから、今回の富士チャレはある程度の自信があった。

 

3.レース

 

 3:00に起床。おそらく、今まで何度も3:00に起きたが、一番目覚めの良い起床だった。前日、19:00に寝たのもあるかもしれないが、やはりマグネシウムのおかげだと思う。4:00に家を出て、大島の方まで向かい、Naoko氏の車に乗る。大島に向かう途中、へんなサーファーもどきがハイエースから話しかけてきて、誰やこいつと思ったら松井クンだった。

 4:30.Naoko氏と合流して、偶然居合わせたお母様にご挨拶をする。道中大きなトラブルもなく、6:50に現地に到着。去年は、雨が降っていたが、この日は涼しく、晴れ間もあった。ちょうど、他のメンバーも同じタイミングで駐車場に合流できた。

 ピットに入り、機材チェック、補給食の確認、食事等をすませる。今回の、補給食は初の試み。ドーピングバイク。 

 

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 攣り防止のマグオンと、スポーツ羊羹がメイン。バックポケットにいれると、全体の重心が上に移動し、バイクが安定しないのと、ダンシングした際に、バックポケットの重みで上のジャージが揺れるのが嫌だった。バックポケットにはいつもの、BCAAとカフェイン、芍薬甘草を入れる。

 また、メカニックにディレイラーの調子をみてもらい、空いた時間はずっとトイレに篭っていた。

 

10:00 スタート。

 1周はローリングスタート。最初の下りは、スピードはゆるいものの、隣前後はどういったレベルの人たちかわからずに、怖くておしっこちびりそうになる。

 2週目のホームストレートから、アクチュアルスタート。しばらくは集団も大きく、ペースも6分30秒/周のペース。ただ、去年と大きく違うのは、体感だが、登りは比較的に楽にこなせる。去年は、上り返しのインターバルと、途中の坂はずっと、ダンシングで踏みっぱなしだったが、今回はシッティングでこなすことが出来、ホームストレートの平坦も問題なかった。ホームストレートでは心拍は170bpmで下りでは150bpm台まで落ち着いていた。また、最も去年との違いは、登りを6倍程度で踏んでいても、今年は動揺しなかったことだ。去年は、「結構踏んでるなぁ」みたいなちょっとした動揺があったが、今年は、このパワーだったら数分は持つから問題ない、安心感があった。ちょうど、試験問題を解くときに、練習問題が出たときのような安心感。

 100kmくらいまでは、大集団だった。なるべく、ポジションは下げないように、ずっと前20人くらいのポジションをキープするようにした。調子は良かった。調子が良いときは、前目のポジションを自然とキープできる。この前の袖ヶ浦のレースは調子が悪く、ずっと後方にポジションをキープしてしまっていた。

 100kmまではほとんど脚を使わずに余裕で距離をこなすことが出来た。ただ、自分が楽なときはみんな楽なので、安心は出来ない。100kmの組がゴールしたら、200kmの高岡さんや北野さんあたりが一気にペースアップしてくるのは想像していた。一気にペースアップして、最も怖いのは中切れ。だから、100km過ぎたあたりからは、前方の動きを注意深く見るようにした。

 120km過ぎくらいから、一気にペースが上がった。ある意味200kmの組の本当のスタートはここから。今まで6分30秒でAve.42km/hだった周回のペースが、ここから6分00秒台のAve.45km/hで推移するようになった。アホほどにきつかった。ホームストレート区間では心拍が180bpm台まで上がり、下りもずっとハイペースで、170bpm前後から落ちなかった。

 130km過ぎくらいから、先頭10人くらいが、抜け出し、自分たちのグループは追走という形になった。20人くらいだろうか。湾岸が4人くらいいて、アラタキ君もいた。柴田君と松井君はいなかった。追走集団自体は、6分30秒くらいで周回をこなしていて、登りも一定ペースで走りやすかった。みな経験豊富で、ローテーションも上手く、ストレスフリーな集団だった。この時点で、平均は41.8km/hだったので、ゴールドは確実だった。

 145kmの登り区間で、左足の内モモに違和感を感じた。「ピクっ」

「あっ、攣りそうだ」まずいと思った。ここまでの平均パワーは240w(0wは平均に入れていない)。脚も限界に来ている。腰も痛くなってきて、精神的にもリタイアしたくて辛かった。メンタル、フィジカルが限界に来ていた。

 150kmの登り区間で、左足全体に電気が走って、一気に固まった。攣ってしまった。うつむきながら、顔をゆがめて、集団の中で停止してしまい、ドロップアウトしてしまった。去年の茂木エンデューロでも同じ経験をした。2回目の茂木の挑戦で。残り45分の段階で、先頭集団に残ることが出来ていたのにもかかわらず、登り区間で攣って悔しい思いをした。まったく同じ状況が起きてしまった。残り50kmなのに。。。悔しくて仕方がなかった。睡眠や疲れあらゆるリスクを排除していたのにもかかわらず。おそらく、脚が本当に限界に来てしまって、悲鳴のようなものだったのだろう。ただ、ここまできてリタイアは出来ない。勝負はここから。また違う戦いが始まった。

 一回攣った脚は、飼いならすしかない。攣らないように走るしかない。トルクをかけずにケイデンスでパワーを稼ぐしかない。大きい集団を待った。ちょうど大きい集団が来たので、それに合流した。200kmを6時間を目指す集団だ。サポートライダーが引いてくれて、無理ないペースで走っている。ただ、残り40km1時間ちょっと走り続けるのも非常に辛かった。何とか、距離をこなし、先頭集団とは2LAP目、追走集団とは1LAPされた。

 

4.結果

 27位 44周 5時間1分23秒 Top +15分42秒

 

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 平均速度 39.5km/h

 平均心拍 161bpm(最大心拍185bpm)

 平均パワー 231w (NP 252w / MAX 773w)

 TSS 488

 運動量 3,703 kJ

 

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ゴールドまでは1分30秒で27位という良くない結果だったが、去年よりは確実に成長できていることは確信できた。去年、チームのみんなは落車や機材トラブルが多くあったが、今年は誰一人怪我せずにピットに戻れたことも本当に良かった。あらたき君も10位台とすばらしい結果、女性人もNaoko氏も8位とすばらしい結果。

 久しぶりにレース中に本当にリタイアしようかと思い、辛いレースだった。来年は、有力勢にもっとついていくようにしていきたい。練習内容ももっと、考えて、食事等の栄養管理も気を配らないといけないと感じた。もう、31歳で肉体的にはどんどん衰えている年代。

 明日から、また練習の日々。。。